今朝の通勤走は全ルート向い風と、非常に苦しいものでした。
ですが苦しい中収穫もあって、色々ギヤとペースを変化させて探って見たところ、なんとか向い風に対抗できるギヤ比を発見できました。18Tで22km/hで走ると5mくらいの向かい風でも長時間耐えられるようです。逆算するとケイデンスは90になります。
無風の場合は95〜100くらいが効率がよいことから、昨日の朝も似たような局面で18Tの24km/hで走ってみて見事足が売り切れたのですが、負荷がかかった場合には高ケイデンスでは無理があったようです。
これでフロント50Tでだいたいの状況に応じた走り方ができるようになったことが確認できました。ギヤ比の変更はいったん正解が出たということでこのまましばらく走り込んでみることにします。
さて、前置きが長くなりましたが、本題です。
自転車の走行抵抗は、普通のタイヤでそこそこのペースで走っている限り、ほぼ空気抵抗で決まると言っていいようです。というのも、私の場合追い風で32km/h、向い風で22km/hくらいまでと風によって10km/hくらいのペース変化が生じます。一方、荒サイ下流部にはセンターに緑色のセンターラインがあって、ここは路面抵抗が非常に小さいのですがそこを走ってもペース変化はいいとこ1〜2km/h程度です。
一般に
と考えて良いそうです。つまり速度を上げると路面抵抗はある程度無視してよくなるわけです。
では風の影響は理屈どおりになっているのでしょうか。走行速度と風速を比較してみましょう。
気象協会のサイトでは、過去24時間の風向きと強さが確認できて、走る前後によく眺めています。強い風が吹いたと感じた時はだいたい4〜6m/sくらいの風速が記録されています。
一方、無風時のペースを29km/hとすると
29*1000/60/60 = 8.1
なので風速約8m/sに相当します。多くの人が誤解していると思いますが、走っていて体感が無風の時、実はかなり強い追い風なのです。
さて、弱い追い風のとき、ペースは3km/hほど上がります。これは風速換算で0.8m/sです。逆に強い向かい風では7km/hほど落ちます。これは風速2m/sに相当します。
少しペース変化に対して風速の変化が小さい傾向があるように思えますが、風は脈動していて常に同じ風速ではないのと、向かい風では負けないように頑張って踏んでいる、などの理由が考えられます。まあだいたい理屈どおりになっていることがわかります。
別の観点からも検討して見ましょう。
ここのところ30km/hが実現できそうなので無意識に少し無理をしてペースを上げてしまっているような感じがします。その反省もあって、昨日の帰りは久しぶりにのんびり走ってみました。弱い追い風で、快適と感じたペースは27km/hでした。頑張って走っている時32km/hの状況ですから
(27/32)^2 = 0.71
ということで空気抵抗は約3割減っています。なるほど楽になるわけです。
自転車通勤を始めた頃は走るたびに面白いようにペースが上がったものですが、30km/hを目前になかなかペースが上がりません。が、計算して見ると29km/hを30km/hに上げるのはけっこう大変だということがわかります。1km/hは風速に換算すると0.3m/s程度と微妙な差のように感じますが、空気抵抗は
(30/29)^2 = 1.07
ということで7%も増えるのです。脚力の上限あたりで負荷がそれだけ上がればなかなか達成できないわけです。
最大巡航速度を伸ばすということは高負荷に耐えるという状況ですから、私が従来トライして来た軽いギヤでより高ケイデンスというアプローチはここまでは正解でもこの先問題ありかもしれません。トップが50x14Tでケイデンス95でいけると予測したのですが、さてどうなるでしょうか。
<訂正> 2004.10.13
別記事を書いているときに誤りを発見しました。空気抵抗は速度の二乗に比例します。ところが速度が上がると単位時間あたりの出力も上がるので、結局負荷は速度の三乗に比例することになります。
ということで最後の2項目は空気抵抗ではなく必要な出力で考えるべきなので
(27/32)^3 = 0.6 40%減
(30/29)^3 = 1.11 11%増
と考えるべきでした。
2004年5月28日今年はどういうわけか富士山のヒルクライムイベントが2つも開催されます。
ひとつは9月のスバルライン、もうひとつは10月の須走です。世の中には物好きな人もいるものだなと思っていましたが、inaさんのレポートを読んだり、プロファイルマップなどを眺めているうちに自分でもなんとか登れないだろうかと考えるようになってしまいました。
須走の方は平均勾配10%、最大勾配22%と、私には不可能なとんでもない急勾配ですが、スバルラインならなんとか登れるような気がします。考察してみましょう。
スバルラインの平均勾配は5%程度で、時折8%程度の場所が断続的に出て来るようです。とりあえず距離を無視すると、別にどうということのない勾配です。まあ、その距離が大問題なわけですが。
最近の私の足では、5%程度の勾配なら21か23Tで13km/hあたりというのが無理のないペースです。この時ケイデンス65。そのままキープしたとして、8%程度のところは26Tで11km/hということになります。ただし長距離の上りはうちの近所にないのであくまで水平距離で数100m程度の短時間の話ですが、踏み応えではそれなりの時間キープできそうです。
これを全長25kmに適用するのは無理ですが、仮にこのくらいのペースをキープできるとすれば約2時間で登れるということになります。無理矢理想像してみましたが、まず無理ではないかという気がします。ロー側がぎりぎりで1枚も余裕が無いのも精神的に辛そうです。
さて、うちの9500円にはダブルのチェーンホイールが付いていて、インナーの39Tはあまりに軽過ぎるので普段は使っていません。ですがスタートからゴールまで全部登りとなると使いようもあるかもしれません。ちなみにディレイラーは付けていないので手変速です。お馴染みのギアと速度のテーブルをフロント39Tケイデンス65で作るとこうなります。
| rpm | 13 14 15 17 19 21 23 26 |
|---|---|
| 65 | 18 16 15 13 12 11 10 9 |
1〜5速まで1km/h刻みになっていい感じです。ローギアの26は軽過ぎてかえって疲れそうですが、精神的な保険としては有効でしょう。
まず心配する必要はないと思いますが、高速側はどうでしょうか。ところどころ3%程度の区間があるらしいので仮に20km/hまで上げられるとします。チェーン長さの関係で13Tは使えないのでトップ14Tとするとケイデンス80回す必要があります。登りでキープするには無理なような気がしますが、まあここまで速度を上げる余裕は無いでしょう。
フロント39でだいたいベストマッチかやや軽いという気がしますが、YAMAHONノーマルでも可能かどうかも実験したいところです。それに「アウターで登った」というほうがかっこいいですし。
当日は輪行で行くつもりなのですが、好都合なことに富士吉田駅からスタート地点の北麓公園までは5%弱の登りのようです。ここまで50x23Tで走ってみて、その感触でどっちで行くのか決めてみようと思います。軟弱ですが、何がなんでも登るという気はないので、あまりに辛いようならばあっさり途中で引き帰すつもりです。
2004年8月9日
まずは結論から行きましょう。
北麓公園から5合目横断歩道までのタイム2時間46分。
コース長約25kmとのことですので、平均9km/hということになります。
・・・遅い!
天気は曇り、暑くも無く寒くも無く、完璧なコンディションです。掛け値無しの全力で走りました。それでこのタイム・・・。
嘆いていても仕方が無いので、検証してみましょう。
予定通り公園まで走ってみた感じでは、50x23Tではかなり厳しそうでした。それどころか26Tでも危ない!やはり普段平坦しか走っていない人間が近所の坂をちょっと走ってわかったような気になっても駄目だったようです。
それでも諦め切れずに、とりあえずアウターでスタートして我慢できなくなったらインナーに落とそう、ということで登り始めましたが、料金所を過ぎて最初の7%勾配で轟沈。足が回らなくなって止まってしまいます。
呼吸と心臓が落ち着くのを待って、インナーに落としペースとギアを変化させて必死で正解を探ったところ、1合目手前でやっとみつかりました。なんと想像よりはるかに下の23T-11km/hが正解でした。きついところは26T-9km/hでなんとか行けるようです。逆算するとケイデンスはなんと70と65。
ペースを掴んだ後はそれなりに走れたのですが、序盤に無理をしたツケは終盤に出ました。心拍が手を当てなくてもわかるくらいに上昇したり、腿の前が細かく痙攣したりといった経験は初めてのものでした。その度に数分止まって調子が戻るのを待ちましたが、ちょっと不安ですね。最悪なのは4合目の看板から残り2kmの看板の区間。軽い思い付きで来るもんじゃないと心から後悔しました。ゴールはいきなり普通の観光地になっていて拍子抜け・・・。
ところで登りで苦しくなるとついグリップを握り締めて上体に力が入ってしまうのですが、内側のエンドバーが活躍しました。登りでここに手を置くと、強制的に上体の力が抜けるのでかなり有効です。
また、8S化は登りでも有効でした。少し勾配がゆるくなるとシフトアップできるので、回し過ぎで疲れてしまうことがありません。
最後にYAMAHONで上ってみようという方へのアドバイス。
今日走った感じでは、もう少し登りに対応した走りを身に付けて、最初からインナーを使えばもう少しましなタイムが出る気もします。かといってもう二度とあんな苦しい思いをしたくないのも事実。やっぱり私は荒サイの住人ですねえ。
2004年8月11日以下のサイトで平坦とヒルクライム時の出力を計算するExcelの計算シートが公開されています。
http://www.fc.jpn.org/dekobou/
私も以前風の抵抗を考察したときに色々調べて同じような式にたどり着いたのですが、残念ながら各パラメータがわからなかったので断念した覚えがあります。ここでは入力が使いやすく整理されているのと、具体的な数値が既に入っているのでおよその出力をえいやっと求めることができます。(ちなみに出力の定量的な評価はエコラン競技の分野で豊富に情報がありますが、係数が自転車とはかけ離れているのでそのままでは適用できません。)
私の9500円では前輪のKENDA KWESTは少し抵抗が大きそうなので転がり抵抗係数は0.008として計算してみました。上体はかなり起きているので前面投影面積が大きいように思いますが、ここの数字を増やすと出力があり得ない高い数字になったのでデフォルトのままとしています。内側のエンドバーでDHポジションもどきを取っているのが効いて上体の幅が狭くなっているのと、腕周りが整流されてCD値が下がっていると解釈しました。
さて、私がスバルラインを登った時のデータをひととおり入力すると、出力は140Wとなります。一方、当時の私の巡航速度はおよそ28km/hでしたが、その条件から平坦のシートで出力を求めると149Wになります。スバルラインは全力で倒れそうになって出した数字で、平坦は通勤時にある程度余裕を持って出した数字なのでなんかおかしいような気がしますが、スバルラインは序盤ペース配分を誤ったのと高所で酸素不足になっていたでしょうし、私は荒サイではほぼ実力を100%出せるのでそれを加味するとまあだいたいよく一致していると考えていいことにします。
さて、このシートの数字を色々と変えると面白いことがわかります。
私は事前の期待ではひょっとしたらスバルラインを2時間切れるのではと思っていましたが、その場合の必要出力は197W。これはろくにトレーニングをしていない一般人が出せる出力ではありません。なんとも無謀なことを考えていたものです。ハードルを下げて2時間30分で156W。これで実現できるかどうかぎりぎりというところでしょうか。
次に平坦を考えます。最近は29km/hくらいはキープできるようになって来たのでその場合は161W出ているようで、当時より約10Wパワーアップできたと考えています。巡航速度を上げていくと必要な出力は30km/hで173W、32km/hで200Wとなります。なんか速度を数km/h上げただけで必要な出力が跳ね上がっていますし、向かい風を考慮できるようにシートに手を入れてもえらい勢いで数字が跳ね上がります。あれれ。
これは以前「空気抵抗」で考察した時とかなり感覚的に異なります。そこで評価式を眺めていて気が付きました。以前の考察では空気抵抗は速度の二乗に比例するとして考えていました。これは一応正しいのですが、出力という観点では単位時間あたりの評価になるので速度の三乗に比例します。なんとも恥ずかしいミスをしたものです。それにしても200Wとは達成が難しいはずです。納得しました。
私が過去トライした高ケイデンスのアプローチはその人が持つポテンシャル(私の場合当時150W)を最大限に発揮することを目指したものと言えます。ところが機材や技術ではポテンシャルより上は達成できません。というわけでこの条件では一般人がとりあえず楽に速く走れる上限は28km/hと結論付けてよさそうです。
さて、当初の目標では30km/hだったのを高圧タイヤ前後で2km/h上乗せとして32km/hを最終的な目標としていますが、妥当でしょうか。速度32km/hで前後高圧タイヤで転がり抵抗係数を0.007とするとして計算してみると191W。一方前後KENDA KWESTのとき速度30km/hで転がり抵抗係数0.009を仮定して計算すると181W。前後タイヤ交換と10Wのパワーアップで達成できることになり、それなりの効果が得られるであろうことがわかります。
色々数字を変えて試せばすぐわかりますが、ヒルクライムでは重量、平坦では空気抵抗(=風)の影響でほとんど決まってしまうので実は機材による差はいいとこ気休め程度です。重量はほとんど体重が占めますし、転がり抵抗なんかレーサーでは元々既に小さいので下げる余地がありません。雑誌が無責任に書き立てるように高価な機材で結果ががらりと変わるようなことは決してありません。
私の興味は平坦の巡航速度に絞られています。その目でシートの計算式を眺めると、やはり大半を占める空気抵抗の項をなんとかするしかないように思います。空気の密度は神様でないと変えられませんし、目標である速度は下げられませんから残るは前面投影面積とCD値です。巡航中は内側のバーエンドを常に持っているのでかなり上体は伏せていますが、両肘をもっと下げて寄せてやれば前傾は深く幅は狭くなって前面投影面積とCD値で併せて数%程度は下げる余地がありそうです。なんとか180W程度で32km/hが達成できそうです。
本物のエアロバーと違って肘を置けないので上体は腹筋と背筋で支え、両手はバーエンドに添えるようにしていますが、これ以上前傾を深くすると上腕部にかなり負荷がかかるのできつい姿勢ですが、やってみる価値はありそうです。ちなみにいつもこの姿勢でいるせいか私の上腕部の後ろ側には筋肉が付いてきていて、最近では手で支えてもかなり長時間耐えることができるようになっています。
<謝辞>
有用な計算シートを公開して下さったDEKOBOU RACINGの方に感謝いたします。